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2011年9月 交流館怪異譚―秋の夜長の怪談会―

平成23年9月9日の金曜日、ちょうど重陽の節句に金沢の石川四高記念文化交流館で「ふるさと怪談トークライブ」開催されました。
この会にはわれらが波津彬子先生や雑誌「幽」の編集長としてお馴染みの東雅夫先生、挿絵界の重鎮である西のぼる先生がお顔を揃えられました。
さて、どんな「怖い話」が出たのか、会を主催した(財)石川近代文学館の学芸員Oさんに伺ってみましょう。

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はい、そうです。あの日は朝からしぶしぶと雨が降っておりました。私は去年の秋、寺町の某寺院で行われた「怪談会」を思い出し、「やっぱり雨か…」と呟いておりました。あぁ、波津先生のお召し物が濡れてしまう。そんなことばかり考えておりました。
いえいえ、誰のせいだとか、「怪談を語る秋の夜には相応しい」とか、そんなことを思ったわけではございません。私ども職員はただもう、お越しいただく先生方やお客様に快く楽しんでいただけたらと思うばかりで。「狙ったように」などとは思いませんとも。そうでなくとも、何かが起こりそうな方々がお集まりでしたから。

えぇ、波津先生にはこれまで何度もお世話になっておりまして、展示だけでなくお話などもしていただいておりましたから。ですが、当館でしていただくのはやはり鏡花についてのお話なども多く、「怪談」となると、どんなお話が伺えるかと楽しみにしておりました。
初顔合わせになる挿絵画家の西のぼる先生が、「怪談」オーソリティーの東雅夫先生とすぐに打ち解けられたのも波津先生の巧みな話術のおかげと思っております。

はい、ありがたいことに会は大盛況でございました。県内外からあんなに多くのお客様に集まっていただいて。雨も小降りになりまして、涼しい風がそよそよと…それはもう、誂えたような…「被災地の文芸支援を」という趣きもありましたので、東先生のお話にも熱が入っておりましたし、これからの東北の復興に少しでもご協力が出来るのなら、と波津先生はじめ会場にお集まりの皆さまからも多くの義援金を賜りました。

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トークショーになりますと東先生はどちらかと言うと怪談の「語り部」というよりは「採取者」でございますから。この世界の大物の貫禄でお座りになられておりました。意外だったのは西先生です。のっけからなんとも不気味なお話で…語りようがやわやわとしている分、つい前のめりになって聞き入ってしまいました。そこを、こう、波津先生がまたお上手に合いの手を入れられまして。まるで一幕のお芝居を見ているようでした。波津先生は土地の怪談にお詳しくて…お話を伺いますと、そこはもう、先生の独壇場で。日常と隣り合わせに存在する怪異は波津先生の作品世界と相まっているようでした。やはりお土地柄でしょうか、金沢には未だ怪談の世界が生きているのです。

あら、そんなこともご存知なのですか?えぇ、西先生も地元新聞にお書きになったので「秘密」というわけではないですけれど、やっぱり「その場」にいた者でないと納得できないことってありますでしょ?はぁ…お話しするのはかまわないんですが…色々あったようなので。私はもう、それどころじゃないくらい気がたっておりましたから…けれど、お客様の中には、お話されている西先生の方からぼわっ、ぼわっと強い風を感じたとか、窓の外を歩く人影を見たとか…はい、そうなんです。この建物の窓は位置が高くて、普通なら頭が見えるか見えないかぐらいなんですけれど。それに、西先生がおっしゃるには、四高に伝わる怪談話「時習寮怪談鈔」を地元の高校生が朗読してくれていた時、高校生の太ももの辺りが赤くぴかぴか光っていたとか…今時の高校生と言えども演劇部の子ですので、携帯電話などもちろん会場には持ち込んでおりませんでした。さて、なんだったんでしょうね?もちろん見えた方ばかりではありませんけれど。そうそう、後で具合が悪くなった方もいらっしゃいましたよ。吐き下したとか、布団から起き上がれなくなったとか…まぁ、こんな建物ですから、いろんなものが集まるでしょうし。沢山の方が集まって、楽しげにしておれば、つい、それにつられて覗きに来たり、いたずらをしたりするものもおりますでしょう。そこはまぁ、ご勘弁下さい。

はい、波津先生はお元気ですよ。何の障りもございません。他のお二人の先生方もです。お強いんでしょうね。それを「オーラ」と呼ぶのかも知れません。常人にはない何かが、やはり備わっているという事でしょう。本当に不思議で楽しい夜でした。
ありがとうございます。また、是非お越し下さいませ。

(学芸員O談)

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